近視の進行抑制~低濃度アトロピン~について


以前のブログにも書きましたが、近視の進行を防ぐには、適正な検査で正しい眼鏡をかけること。太陽光のもとで多く遊ぶこと。細かい作業(勉強やゲーム)を長時間やりすぎないこと。そして、現在分かってきている近視の進行を抑制する治療を受けること、です。(低濃度アトロピン・オルソケラトロジー・クロセチンの摂取)

 アジアの先進諸国では80-90%の若年者が近視と報告されています。日本では、学校保健統計調査では1950年代の、未成年者の近視の割合は、小学生で6%、高校生になっても12%程度でした。それが、2012年度の調査では、視力が1.0未満の子供の割合は、小学生 30.7%、中学生 54.4%、高校生に至っては 63.8% という驚くべき結果が出ています。

また、重度の近視の場合、緑内障網膜剥離黄斑変性症、白内障の早期発症のリスクが高まるなどの悪影響があることがわかっています。

その一方、眼軸をできるだけ伸ばさないための研究も積み重ねられてきています。ひと昔前には視力回復センターみたいなものもありましたが、今ではきちんとエビデンスが出ていて近視の進行を抑制できるものが色々と分かってきています。

2014年の国際特殊レンズシンポジュウム(アメリカのコンタクトレンズ関連の最大の学会)では近視の抑制にアトロピン点眼 (76%)オルソケラトロジー (42%)マルチフォーカルソフトコンタクトレンズ (52%)が有効であると報告されています。

近視には遺伝的な要素と環境的な要素があり,それらが複雑にからんで近視になると考えられています。たとえば、親に顔や背丈が似るように眼の形も似て眼の長さが長くなるわけです。この時に、適正じゃない度数の眼鏡をかけることで、近視の進行を促進してしまう可能性があります。適正な眼鏡を作るには、眼科で本人の近視の度数を詳しく検査してからメガネを処方することが重要です。調節機能を除去する点眼を用いて検査します。これをしないと、強すぎる眼鏡をかけてしまったりすることがありますので要注意です。

2015年の米国眼科学会(AAO)では、これまでの研究において、未治療群の小児と比べ0.01%アトロピン点眼薬投与群では近視の進行を約60%抑制する効果も明らかになっています
日本では2014年に入ってから東京医科歯科大学京都府立医科大学で臨床治験が開始されました。
【次のグラフは4種類の濃度のアトロピンを点眼した結果です】
シンガポール国立眼科センター(SNEC)の研究結果です。

近視がどんどん進んでしまう前に、やれることが沢山あります。低濃度アトロピンやクロセチンのサプリメントなどは簡単に日常の生活に取り入れることができますから、やらない手はないと思うのです。

近視進行抑制治療は自費診療になります。詳しくはお問合せください。

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