ドライアイとマイボーム腺機能不全MGD

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今日は、IPL機器のデモの日でした!

マイボーム腺機能不全という言葉を聞いた事がありますか?今日はドライアイに関わる重要なお話を書こうと思います。

マイボーム腺とは、まぶたのまつ毛の少し奥にある脂の分泌腺です。数は約片眼の上まぶたで50本、下まぶたで25本位です。脂を分泌しており、その脂が目の表面全体を覆い、涙が万遍なく角膜上に広がるようにし、かつ涙の蒸発を抑制する働きをしています。その他にも潤滑油作用でまばたきの都度、まぶたの裏の摩擦を減らしたり、まぶたの縁で脂がバリアーとなって、目の中の涙が皮膚の方に流れ出るのを防ぐ作用もしています。

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マイボーム腺機能不全には脂の分泌減少型と、分泌増加型がありますが、殆どが分泌減少型で、脂の排出力が低下したり、開口部が変形したり閉塞したりしています。

自覚症状としては、目がコロコロする、乾く、クシャクシャする、メヤニぽい感じがするなど様々な訴えがあります。バリアー作用の障害で涙が皮膚側へにじみ出る為に、目の縁がいつもベトベトして涙っぽいと言われる事も度々あります。

お肌の手入れを想像してみてください。お化粧水を幾ら塗り込んでも蒸発しますのでクリームや乳液で閉じ込めますね。反対にクリームばかり塗っていたらベタベタしますね。その状態がドライアイです。

有病率は60歳以上の方では、人口の約半数の方に認められるとも言われています。今まで単なるドライアイや涙目と思っておられる方の中でも、実際はかなりの症例でマイボーム腺機能不全が関与している事が考えられます。原因の多くは加齢による変化で、分泌機能の低下に加えて、分泌腺の出口が狭くなったり閉塞する為ですが、若い人でも分泌腺内の菌の感染による分泌機能低下や、アイメイクによる開口部の閉鎖によるものが多く見られます。

治療としては
① 温罨法で温める。

まぶたを温めることによって分泌腺内の固まっていた脂が柔らかくなり、開口部も開きやすくなります。蒸しタオルやホットアイマスクをまぶたの上に4~5分置き、その後清潔なコットンなどでまつ毛の根元を優しくふき取るようにします。

② まぶたのフチの清掃(アイシャンプー)

清潔な指先に、刺激の少ない専用のシャンプーを付けて、まぶたやまつ毛の生え際を優しく擦るように洗います。後は軽く水で洗い流します。

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③ 圧出

診察時に行います。分泌腺内の脂質を、器具を用いて排出させます。

専用のホットアイマスクや刺激の少ないまぶた専用のシャンプーなどが有りますので、必要な時は当院受付でご相談下さい。

④IPLによるマイボーム腺機能不全の治療

こちらをやれる眼科施設がまだ日本には少ないです。 

マイボーム腺機能不全を改善する新たな治療法として、IPL(Intense Pulse Light)治療が登場し、海外の学会等でその効果が次々と報告され、注目を集めています。

IPLという特殊な光を下まぶたのマイボーム腺にフラッシュ照射し機能を活性化させ、マイボーム線をクレンジングすることで綺麗な油の分泌を促すものです。
IPL治療は、正常な油分の分泌を促し、涙の量が減ってしまったドライアイの症状が楽になります。

IPL、いま一番わたしが欲しい機械です。おおたけ眼科ではIPLによるドライアイ治療の導入を予定しております。

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