前視野緑内障とは~緑内障のトレンド~

前視野緑内障という言葉を聞いたことがありますか?

 

今日は緑内障のお話です。緑内障は、進行性で眼圧依存性の視神経の病気です。

診断は視神経障害の検出をすることによって行われます。構造的評価は→眼底検査やOCTにより 機能的評価は→視野検査によって実施されます。

緑内障は、視神経が弱って徐々に視野が欠けてくるわけなのですが、そのスピードは本当にちょっとずつ、ちょっとずつ進んでいきます。緑内障の治療の最終目的は一生涯視野を守ることですから(視野がなくなれば失明)、じゃあもっと早く診断できないだろうか?と思いますよね。

そこで、前視野緑内障(PPG)という概念が生まれました。

すごく簡単に言うと もっと早くから緑内障を注意深くチェックしよう。って事です。

前視野緑内障(PPG)とは眼底検査において緑内障が怪しいような所見、視神経の構造変化があるにも関わらず、通常の視野検査において視野欠損を認めない状態のことをいいます。つまり前視野緑内障(PPG)の段階では まだ視野は正常だけど、視神経の損傷はもう既に始まっており、OCTや眼底検査で 将来的な緑内障を早期発見することが重要だという意識が眼科医の中でも高まっています。それには定期的にOCTで視神経の状態を詳細に比べていくことが大切です。

難しいのは、視野も欠けておらず自覚症状もない前視野緑内障の方に、定期的な受診が必要ですよ!といってもなかなか来てもらえませんね。

医者は状況証拠はあるのだから、定期的に観察して早期発見を遅らせたくない!

患者は自覚症状もないし、薬を付けるなんてもちろん嫌だし検査には来なくなる。。

いかに状況証拠をうまく説明して、あとは信頼関係を持つことが大切です。

(また来てもらえないとなかなか、信頼関係も取れないけど。。。)

PPGが緑内障を発症するリスクファクターとして重要なのは 眼圧、視神経の色の悪さ(血流の悪さ)、視神経からの出血、視神経乳頭周囲の網膜神経線維層の薄さなどになりますので 特にこういった所見がみられる方は、視野の異常(欠損)がなくても慎重に定期健診をして早期治療に踏み切るタイミングを見計らうべきだと思います。

高齢化が進む現代では、90歳を過ぎても元気というのは普通になってきています。高齢化が進むほど、視野を守らなくてはならない年数は長くなります。

40代や50代とかで視神経の形が怪しいとか、OCTで視神経のへりが薄くて眼圧も高め・・もしかしたら10年以内には緑内障を発症するかもしれない人は4~50年視神経を守らなくてはならないわけで、この前視野緑内障から~早期緑内障、治療決定までの道のりが 生涯視野を失わないポイントになってくるかもしれません。

 

無症状でも緑内障の検査を受けるようにしてくださいね。

おおたけ眼科

otakeganka.hateblo.jp