漢方と陰陽五行

梅雨らしい週末になってしまいましたね。こんな季節はジメジメして身体も水はけが悪くなりますから、青魚や豆類を多く摂ったり、ネギなどの薬味を多く摂るようにしています。当院では西洋医学である処方薬に加えて、漢方治療を積極的に取り入れています。

今日は基本的な漢方学のもとになっている陰陽五行のお話です。

大古の先人たちはこの世(世界・宇宙・人)は全てのものが陰陽に分けられ、さらに全てのものが木火土金水(もっかどごんすい)の5種類に分けられることに気が付きました。木火土金水はそれぞれが影響しあいます。例えば水は火を消しますし、火は木を燃やしますね。

漢方学はこの木火土金水をそれぞれ身体の重要な臓器にあてはめ(五臓といいます)それぞれの巡り=気の流れが順調に流れている状態が「健康」であり、滞りやバランスの悪さがあると体調の不調が現れ、それを整えようと考えるのが漢方学です。

話は飛びますが、この陰陽五行に時間・空間・方角や本能、そして季節を取り入れて考えたものが四柱推命や算命学などの占いに使われています。面白いですよね。だから私は算命学を割と信じてしまいます笑。f:id:mari1128riri:20200614112724j:plain

漢方の話に戻ります。漢方学では陰陽のバランスとともに、五行の正常な運行が重要視されます。

五行は「木・火・土・金・水」で表現され、陰・陽をそれぞれ月と日(太陽)にあてると、陰陽五行ですなわち1週間の曜日がそろいますね。このように陰陽五行説は天体の運行から導き出された考え方なのです。
そこには人体は小宇宙であるという基本的な考え方があります。

五行は互いに影響し合っています。
木は燃えて火を育て、火はものを燃やして土と化し、土は金(鉄などの金属)を作り、金は良質の水をつくり、水は木を育てます。この関係を相生(そうせい・そうしょう)と呼び、それぞれ前者が後者の母になります。一方、木が育つと土を破壊し、土は水を濁し、水は火を消し、火は金を溶かし、金(金属)は木を傷つけます。この関係を相剋(そうこく)と呼びます。

 

 

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相生と相剋

 

五行の間にはこのような関係(気の巡り)があり、正常に運行している状態が健康な状態です。そして、五行には五臓が対応します。それは 木(肝)・火(心)・土(脾)・金(肺)・水(腎)です。

また、五臓六腑にはそれらを働かせる気が廻っています。その気が滞るとある臓腑に過剰の気が滞ったり、逆に不足したりして、やはり病気が引き起こされます。すなわち健康とは陰陽五行のバランスがとれた状態です。その関係が量的に崩れた場合に不健康となり病気となるので、治療は過剰を取り去り、不足を補うというのが基本中の基本になります。

眼の病気の例で私がよく漢方を用いるのが眼精疲労などの不定愁訴です。眼痛、しょぼしょぼ感、異物感、乾燥感は思いのほかつらい症状ですが数値的には悪いものがほとんど出ないので 症状のつらさの割にはドライアイの点眼処方でお茶を濁され、放置されてしまっている症例がほとんどと言っても良いのではないでしょうか。

漢方で眼精疲労が改善されると肩こりが治ったりなんだかスッキリする、というのは身体のバランスが整ってくるからなのです。

身体のバランスを取るべく漢方を処方することで改善される方が多くいらっしゃいます。漢方の種類については患者さんのそれぞれの体質がありますから、様々な漢方を用います。繰り返すものもらいや、アレルギー性結膜炎にも漢方をよく使います。気にかかる症状があって自分の症状に漢方を使えるのか?と気になる方はどうぞお気軽にお尋ねくださいね。